猫と小説に溺れて
若桜木虔メール添削講座受講中。小説家デビューを目指し、愛猫アリィーと共に日夜ツメを研いでおります。執筆のコト、猫のコト、読書、観劇、グルメなど………………徒然なるままに書き散らします。


秘仏★観心寺如意輪観音像&金峯山寺蔵王権現 拝観弾丸ツアー
観心寺如意輪観音像を知ったのは、今から30年以上前の日本史資料集です。
鮮やかな彩色の肉感的な仏像で、代々木ゼミナールの名物講師・白井明先生(当時で60才越え)曰く、
「色っぽいほとけ様で、男子学生が見に行ったら変な気持ちになっちゃう。ボクも大学時代に見に行って…」
と話していたのが妙に印象に残っていました。女子学生だったので変な気持ちにはならないけれど、
仏教界のマリリンモンローともいうべき妖艶な美しさに魅せられて、「いつか訪れたい」と思い続けてきました。
如意輪観音像が開帳するのは、年に一度4月17日と18日の2日間のみ。行きたいと思いつつ、休みがとれなかったり、そもそも気がつくのがご開帳のあとだったりと数十年が過ぎてしまいました。しかし、今年はお水取りに行った勢いに押されて4月17日に日帰りで拝観することに決めました。折しも、金峯山寺の蔵王権現もご開帳中。時刻表を調べると、日帰りで行けないことはない。ココに「秘仏★観心寺如意輪観音像&金峯山寺蔵王権現 拝観弾丸ツアー』決行の運びとなりました。

朝4時半に起床し、東京6時16分発のぞみ3号で新大阪へ向かいました。朝食は車内販売のサンドイッチ(根菜とチキン)と珈琲のセット。パンも柔らかくて具も美味しい!熱々の珈琲を飲みながらサンドイッチにパクついていると、ねぼけていた頭がくっきりと冴えてきます。

8時40分新大阪着。京・奈良に行くときはいつも京都で降りていたから、新大阪で降りるのは実に15年ぶり。
京都駅に比べておしゃれなお店も多く洗練された雰囲気ですが、たこ焼きのお店があるのが実に大阪的でした。
新幹線・新大阪駅から御堂筋線に乗ってなんば駅、そこから徒歩で南海電鉄難波駅に向かいました。ちょうど
ラッシュの時間帯で大勢の人々が地下道やホームを行き交っていましたが、東京の人々が先を争うように歩くラッシュに比べると、
大阪の人々は歩きかたもゆったりとして余裕があるように見えました。難波駅から南海電車に30分ほど揺られて河内長野駅に着いたのが、9時50分。観心寺方面のバスは9時57分発。改札でバス停の場所を聞きダッシュで向かうと既に長蛇の列。
半数以上が老夫婦&大阪のおばちゃん軍団、そして仏像好きと思しき女子がちらほら。超満員のバスに揺られ10分ほどで観心寺に到着しました。
                               観心寺の山門です。
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バスに乗っているときから雨がぱらぱら降り出して、お寺に着いたときは本降りでした。不用意な私は傘を持ってきていなかったのですが、お寺で傘を借りることができました。とても親切です。境内には地元の食材で作った温かい食べ物やパンが売られており、ご開帳が地元にとっても大きなイベントであることがうかかえます。
       如意輪観音像がおわす金堂
観心寺金堂_convert_20170805063831

金堂は東京の地下鉄のラッシュのように満員です。ちょうど一度目の講話が始まりかけた時に入場。約5m先に憧れ続けた如意輪観音菩薩がいらっしゃいます。おそれ多くも単眼鏡でご尊顔をうかがいます。
       国宝・如意輪観音菩薩像
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日本史資料集や美術本で見たとおりの美しさです。ただし写真は如意輪観音菩薩の妖艶さ・美しさばかりが際立っていましたが、実際の如意輪観音菩薩像は美しさ以上に気品と慈悲、そしてこの観心寺を千年以上にわたって守り抜いた威厳に満ちていました。一度目の講話が終わると人の波が入れ替わり、最前列へと行くことができました。二度目の講話を聞きながら、如意輪観音菩薩の美しさ、威厳に背筋が伸びてきます。お坊さんが寺の成り立ち<役小角創建、,空海が北斗七星を勧請し、如意輪観音像を彫ったetc>や変遷<鎌倉時代には奈良県境まで寺領があり楠木正成の菩提寺、後醍醐天皇をはじめ南朝の尊崇が厚かった><にっくき織田信長に寺領を減らされ、現代ではこのような規模の寺院になった><10年前まではご開帳でも参拝者は少なく、1日の拝観者数が1回の講話を聞かれる人数だった>についてユーモアを交えてお話下さいましたが、講話以上に頬を緩めたのが、背後の大阪のおっちゃんたちの「この薬師さんきれいやな~」「あの仏さん別嬪やなあ、何て名前なん?」といった会話でした。
時計を見ると11時を廻っていました。観心寺境内にには星塚や宝物館、そして後村上天皇の御陵もありますが、じっくり廻るのは次回にとっておき、観心寺をあとにしました。ちなみに、河内地方では毎年4月18日に特別拝観できるお寺が多いため、まとめて見ようと18日に訪れる人々が多いそうです。

12時過ぎの近鉄線で吉野へ向かいます。近鉄線の乗り換え口で、面白すぎてついシャッターをきってしまったポスターをご紹介。
「お気遣い群像」ー高松塚古墳の壁画をモチーフにしたものですー
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 「車内の平安物語」ー紫式部日記絵巻(?)がモデルでしょうか。
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さすが、関西! 抜群のセンスです。
古市駅と吉野駅で乗り換えて、終点吉野山上駅(ロープーウェイ)についたのは14時をちょっとまわっていました。
                              金剛峯寺の黒門
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お腹ぺこぺこで、参拝前に「吉野山豆腐本舗 林とうふ店」で昼食をとりました。吉野の美味しい水を作った豆腐の専門店です。
豆腐ラーメン、豆腐ハンバーグ、湯豆腐セットなどさんざん迷った挙げ句「豆腐づくし膳」(1300円税別)に決定!
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10分ほどで膳が運ばれてきました。大きなざる豆腐の迫力に「食べきれるかしら?」と心配しましたが、すべて完食!
お豆腐は甘くて味わい深く、薬味とお店のお醤油でいただくと豆腐だけでどんぶり三杯は行ける美味しさです。
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湯葉と小松菜和え物、ごま豆腐、こんにゃくとぬたの和え物(?)、お味噌汁とお揚げ……すべてが美味しく大満足!
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「豆腐づくし膳」にして大正解でした。今まで食べたお豆腐専門店ではナンバー1!これから吉野山でのお食事は「林とうふ店」できまりです!
お腹を満たして、金峯山寺で蔵王権現を参拝させていただきました。
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青の権現様は、相変わらず厳かで格好いい!現在、過去、未来を表す三体の蔵王権現が居られて、権現様の前には畳のブースがあり眼前で拝観できるようになっています。前回参拝したときは、全てのブースを順番に参拝できたのですが、今回は一つのブースだけでした。私が参拝させていただいたのは、右端の「現在」を表す蔵王権現様。再び参拝できた感謝の想いを捧げていると、
「たとえ思うような日々ではなくても今を懸命に生きよ」という声が聞こえてきたような気がしました。

金峯山寺の売店でとってもカワイイ子をみつけました!
くまぶしくん

奈良日航ホテルとのコラボキャラクター「くまぶし君」(1000円税込)です。即購入し、現在会社のデスクに鎮座しています。
日が西に傾きはじめました。吉野山を下山し、16時発の特急で京都へ向かいました。
京都では職場と自宅へのお土産を購入。会社には阿闍梨餅を買う予定でしたがすでに売り切れかわりに下鴨「宝泉堂」の「しぼり豆丹波黒大寿」を購入(10袋2484円税込)。
しぼり豆丹波黒大寿

京都ブライトンホテルのお部屋ではじめて食べたのですが、品が良くてとっても美味しいんです♪

自宅用には同じく宝泉堂の「賀茂葵」を購入。
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葵の葉がハートみたいでとても可愛いんです。小豆の周りについているお砂糖がシャリシャリしてとても美味しい!

もう一つおうちのお土産にお弁当を購入。京都岡崎 京料理「六盛」の丸弁当。
六盛 丸弁当_convert_20170813175130

京都だけにしかないお弁当で、味にうるさい母も「美味しい」と認める味です。そのうえ1800円(税別)とリーズナブルです。

お土産を購入し終えて、19時過ぎの新幹線で東京へ帰りました。非常に充実した一日だけどさすがに疲れて、帰りの新幹線では読書の代わりにうたた寝をしました。旅行の時、いつも思うことだけれど、同じ一日でも9時17時の会社勤めとは濃さや充実度が全く違います。日常は、集団の中でのルーティン業務や自分の思い通りにはならないことの積み重ねだけれど、旅の一日のように、自我を忘れ一瞬一瞬に集中するー蔵王権現のお言葉のように「今を懸命に生きたい」と思いました。

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そば処喜多原 東大寺戒壇院門前
奈良県庁前のバス停を降りて、依水園を東に見ながら戒壇院へ続く細い道を5分ほど上っていくと、たぬきの置物が置かれた民芸店のようなお店が左手に現れました。
「そば処喜多原」です。
奈良には歌舞伎役者さんがご贔屓にされている有名なお蕎麦屋さんがありますが、地元では
「よし川(現・喜多原)が一番美味しい」と言われているらしく、ここ十年ほど「行きたい!」と念願していたお店です。
到着したのは14時半過ぎで、とうにランチタイムは過ぎておりましたが満席です。20分ほど待ち、15時前に入店できました。
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畳敷きの4人用の広いお席に案内されました。木目のどっしりとしたテーブルに草花が生けられ、壁には大仏の
アートな絵が掛けられています。和の中にも今風のおしゃれなしつらいです。
料理は奮発して「野菜と海老の天ざるそば 1480円」を注文。
15分ほどで天ぷらが運ばれてきました。
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かなりボリューミーです。好物のナスの天ぷらから口に運ぶと、揚げたてのさっくりした食感となすの瑞々しい味わいが口に広がります。人参、タケノコ、かぼちゃ、さつまいもと次々に口に運びます。野菜はすべて奈良県産のものを使っているとのことですが、
どれも瑞々しく、味わい深く、身体と心まで健やかにしてくれる美味しさです。
天ぷらなので、もちろん衣がついているのですが、全然油っぽくありません。これほど野菜の旨味を引き出した天ぷらははじめてです。
おそばは天ぷらの1分ほどあとに到着。細麺です。
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外一(そば粉10割、つなぎの小麦粉1割)の蕎麦は細くてしっかりとしたコシがあります。
ネギとわさびをつけていただきます。つるつるつる……幸せな瞬間です。
天ぷらをつゆにつけて、おそばと一緒に食べてみましたが、こちらの天ぷらと蕎麦は別々に食べた方が美味しかったです。
それだけ、それぞれの味が際立っているのです。最後に大好物の海老の天ぷらを食べて、蕎麦湯で〆。
満腹、満福です。

幸せな気分でお店をあとにし、昨夜お水取りを見た二月堂へと向かいました。
微かに日が西に傾き、カメラを手にした見物客がちらほらと集まり始めていました。
二月堂から見える奈良の町並みとおほどかな空を見ながら、
「来年も参ります」と二月堂のご本尊十一面観世音菩薩に手を合わせました。



石上神宮
名残を惜しみながら、12時前にチェックアウト。
荷物を駅に預け、12時30分過ぎに天理方面の電車に乗り込みました。目指すは石上神宮!
乗り換え含めて40分弱で最寄りの天理駅に到着。神宮へは徒歩約30分ですが、寄る年波には
勝てず迷わずタクシー乗り場に向かいました。タクシーに乗り込むと、運転手さんが「あれが新しく
できた会館や」などと天理教の建物を説明し始めました。天理は天理教の総本山で、アッチコッチに
天理教の建物や、信者のためのグッズ、天理教の標語が掲げられています。宗教都市!とはまさに
天理のことをいうのでしょう。ただ、ジブンは信者ではないため、運転手さんの熱心な説明にのらりくらりと生返事
しかできませんでした。そうこうするうちにおよそ10分で神宮に到着。

石上神宮へは、高校時代にマンガ『日出処の天子』に嵌まってはじめて参拝してから、その圧倒的な
清々しさと神々しさに魅せられて、幾度となく参拝させていただいています。

石上神宮は軍事を司った古代の豪族の雄・物部氏の氏神で、布都御魂大神(ふつのみたまおおかみ)
をはじめとする三神が祀られています。主祭神・布都御魂大神は霊剣が神格化された神様で、『古事記』
の神武東征に登場します。ちなみに「ふつ」というのは、「ものを断ち切る音」を表すそうです。
また、石上神宮は古代の武器庫~天神庫(あめのほくら)~で現在でも国宝「七支刀(ななつさやのたち)」
をはじめとする御神宝が収蔵されています。

参道の石畳の坂を登り切ると、石造りの堂々たる鳥居が現れました。感謝の思いをこめて一礼し、身の引き締まる思いで
鳥居を潜り抜けました。
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「祓いの剣」を祀るお社ー厳かな気持ちで足を踏み出すと、出迎えたのは可愛いニワトリさんたち  
石上神宮はペットに優しい神社としても有名で、ペットの参拝を許可しているだけではなく、ペットのお守りも授与する全国でも
珍しい神社です。わんちゃんを連れて参拝にきている人もちらほら見かけます。
ニワトリさんたちを追いかけてパシャパシャ写真を撮っていると、こんな見事なニワトリさんが現れました!
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ニワトリウォッチはほどほどにして本殿へと向かいます。

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朱塗りの楼門を潜り抜けると正面に檜皮葺の拝殿が現れます。
祓いの剣を祀る硬派な神社なのですが、朱塗りの楼門と回廊は優美で
それに囲まれた斎庭(ゆにわ)は穏やな優しい気が充ちていました。
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斎庭の上に広がる空。青く明るい空の色に、心も晴れやかになります。
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穏やかな気持ちで参拝を終え、拝殿を後にしようとしたとき、小池徹平くんばりの美青年
が登場。しかし同行しているのは、中年のおじさん。おじさんは徹平君の写真をぱしゃぱしゃ
撮りまくったあと、二人仲良く授与所のお守りなどを物色。
もしやこの二人と邪な妄想が脳裏を掠めました。

時計を見ると14時近くになっています。
強さと優しさで充ちた神々の杜…石上神宮に再び訪れることを心に約して、再び奈良へと向かいました。









奈良ホテル朝食 三笠
重厚なカーテンの隙間から微かにのぞく朝日で、目が覚めました。
夢も見ないで朝までぐっすり眠ったのは何十年ぶりせしょうか。
カーテンを開けると、クラシカルな窓に燦々と朝日が降り注ぎます。
今朝は奈良ホテルを予約したときから、楽しみに楽しみにしていた朝食です。
シャワーを浴びて、ゆったりとした服装に着替えて「メインダイニング 三笠」へ。
朝食チケットを渡し、期待と緊張に胸を膨らませ足を踏み入れました。華麗なシャンデリアが
下がり、名画や調度品で彩られたその重厚華麗な空間は、テレビや小説に出てくる鹿鳴館のようです。
客席_convert_20170430134701 - コピー


9時前のちょうど客足が少なくなった時間帯のためか、1人客なのに、興福寺五重塔を臨む窓際の席に案内されました。
朝からツイています。
窓際_convert_20170430134845 - コピー


朝食は茶粥定食と和定食、洋定食の三種類。かねてから決めていた洋食をチョイス。

全体_convert_20170430135556 - コピー

洋食はジュース、珈琲、シリアル、サラダ、パン、卵料理、肉類。
卵料理はオムレツに、肉類はベーコン、そしてパンはフレンチトーストを選びました。
かなりのボリュームです。

オムレツ_convert_20170430135404 - コピー

ベーコンとオムレツのアップ!初月のように整った大きなオムレツ。
 「こんな大きなオムレツ食べられない」と思いましたが、ほどよい柔らかさでするすると口におさまります。
ベーコンは肉本来の旨味が凝縮されていて、噛み締めるごとに口に旨味が広がります。

フレンチトースト_convert_20170430135215

そして朝食の目玉はフレンチトースト!奈良ホテルのフレンチトーストは代々シェフ同士が口伝で受け継がれた
絶品の味としてフレンチトースト好きの間では有名です。
トーストにナイフとフォークを入れ、いざ口へ!
美味しい外はカリカリ、中はとろとろクリーミーバターの塩みとプリンのような甘さが絶妙にマッチしています。
お腹はいっぱいのハズなのにナイフとフォークが止まらず、完食しました。

大満足の朝食の後、三笠の室内をパシャパシャ撮っていたところ、「お写真おとりしますよ」とスタッフから
声をかけていただきました。「この場所がおすすめです」と素敵な調度品のまえで写真を撮ってくれました。
奈良ホテルのスタッフのホスピタリティーの高さに再び感激して、朝食会場をあとにしました。








 奈良ホテル-THE BAR
緊張した足取りで長い廊下を進み、「THE・BAR」の扉を開けた。

入り口_convert_20170430131322
  出迎えてくれたのは 色白の端正な
 
 顔立ちにオールバックの 髪型の
 
 まるで宝塚の男役みたいな青年。
 
 自分の中のテンションが上がる。
 (以後、宝塚青年)
 
 実は、ひとりでBARに行くのは
 生まれて初めてで、正直ドキドキ
 している。
 
 






バーカウンター_convert_20170430131515
 THE・BARには、「ワールドクラス2013」
 という大会で世界第3位に輝いた
 宮崎剛志さんという著名なバーテンダー
 がいる。
 客席をみるとカウンターもテーブル席も
 どちらも空いている。
  BARカウンターに座って、宮崎さん
  の作るカクテルを傾け、大人の会話を楽し
  みたい♪でもコミュ障ぎみの自分が初対面
 の人と気の利いた会話ができるかな…
 なぞとささやかな妄想を繰り広げていたところ、
 宝塚青年は私を窓際のテーブル席へと
 誘った。無論私には「いや、カウンターが良い」
 なぞと抗弁する勇気はなかった。





景色_convert_20170430131937
 でもこの席すごく良い!
 ライトアップした日本庭
 園が見えるし、 客席全
 体も見渡せてとても落ち
 着く。
 きっとカウンターだと緊
 張して落ち着けなかっ
 たにちがいない。
 宝塚青年は、女の一人
 客が落ち着けるように
 とこの席を案内してくれ
 たの かもしれない。
 なかなか良い仕事を
 する。
 さてさて注文は……
 テーブルにはお得な
 シャンペンのお知らせ
 があるけれど、はじめ
 から奈良ホテルオリジ
 ナルカクテルを注文す
 ることに決めていた。
 オリジナルカクテルは
 三種類。悩んだあげく
 「にごりと桃」に決定した。






ほどなく運ばれてきた「にごりと桃」は、良い意味で予想とはまったく違っていた。
フローズンカクテルとは聞いていたけど、見た目はまるでシャーベット。
お酒=ゴクゴク飲むものという観念しかなかった自分は、思わず宝塚青年に
「どうやって飲むんですか?」と聞いてしまう。
青年は「こちらのスプーンで掬ってお召し上がりください」とにっこり微笑む。
にごり&桃_★_convert_20170430131740


「いただきます」と手を合わせて、緊張しながらスプーンでシャーベットを掬い口に運ぶ。
「美味しい……本当に美味しい!!」新鮮な桃をそのまま凍らせてシャーベットにした
みたいだ。
舌の上でするすると雪のように溶けていく氷菓には、トロリとした桃の粘りもついている。
次々と、カクテルを口に運び、溶けていく氷を舌で転がし慈しむ。
はじめはまったくアルコールは感じなかったけれど、しばらくすると少しぽわ~んとなってくる。
何をするでもなく、カクテルを口に運びながら庭を眺める。
はじめて奈良を訪れたのは17歳の夏休み。あれからちょうど30年経ったことに気がついた。
高2の一学期『日出処の天子』の世界に感激して、その夏、姉と二人で奈良へ行った。
街のあちらこちらに、犬や猫のようにいる鹿に感動し(あの頃は鹿が可愛いと思っていた。
今は…自粛です)、古代の空気を真空パックした斑鳩の光景に感動し、
歴史の埃をかいくぐった薄暗い堂内に鎮座する仏像の恰好良さに目覚めた。

ソンナコトヲ思ヒ出シツツカクテルを口に運び、再び平成29年3月の奈良ホテルへと戻った。
グラスに残った最後のひと匙を口に運び時計を見た。すでにバーにきて1時間が過ぎていた。
お水を一杯もらい、お会計を頼む。
「美味しかったです」と宝塚青年に伝えると、「ありがとうございます」と品良く微笑んだ。
 グラスに敷かれた鹿のコースターがほしい旨を伝えると、わざわざ新しいコースターを出して渡してくれた。
様々な意見があるとおもうけれど、奈良ホテルはホスピタリィーに溢れた「西の迎賓館」の名に
ふさわしい素敵なホテルだと思う。

部屋に戻り、軽い晩酌をしてベッドに入った。
いつも一緒に寝ている愛猫アリィーが寂しい想いをしていないか、
と気にしつつ心地よい眠りに誘われていった。
その夜、私は何年ぶりかで夢を見ず、ぐっすり眠った。